既読からの返信スピードは好意のサインか、研究でわかっていること

既読がついてから返信が来るまでの数分間を、つい何度も確認してしまう。長ければ「嫌われたかもしれない」と不安になり、早ければ早いで「脈があるのかな」と一喜一憂する。その気持ちは変なことでも意志が弱いわけでもない。返信の速さと相手の好意の関係を調べた研究を確認すると、思っているより単純な話ではないことがわかる。
3行でわかる
- 返信の速さだけで相手の好意を測れるとした研究は見当たらず、「速い=好き」「遅い=嫌い」と単純に結びつけるのは難しい。
- あえてすぐ返信しない『じらし』戦略は、相手がすでにこちらへ気持ちを向けている場合に限って効果が確認されており、誰にでも効くものではない。
- 既読からの時間を何度も確認してしまう行動は、不安を感じやすい愛着スタイルの人によくみられる自然な反応で、相手の気持ちのサインとは別の話だとわかっている。
01何が起きているのか(悩みの正体)
返信の速さと好意を直接結びつけた決定的な研究はなく、既読からの時間を気にしてしまうこと自体は、不安を感じやすい人に自然に起こる反応だとわかっている。
既読がついているのに返信が来ない数分間は、実際以上に長く感じられる。頭の中では「もう会話に興味がないのかもしれない」という考えが浮かびやすく、スマホを何度も確認してしまう。これは意志の弱さではなく、人との関係で不安を感じやすい人に共通してみられる反応だと心理学の研究でも示されている。
一方で、返信の速さそのものが相手の好意をどれだけ正確に映しているかは、実ははっきりしていない。むしろ研究が積み重ねてきたのは、「速いか遅いか」よりも「どれだけ会話の中身に関心を持って応えているか」の方が交際の満足度と結びつきやすいという点で、それも遠距離恋愛など特定の状況に限られている。
02研究でわかっていること
研究では、返信の速さそのものより、じらしの効果が働く条件や、日々のやり取りの中身・応じ方が、交際の満足度と結びつくことがわかっています。
Dai・Dong・Jia(2014年)[1]
『じらし』(すぐに反応しない態度)は、相手の中の『欲しい』という気持ちを強める一方で、必ずしも『好き』という気持ちまで強めるわけではないことがわかった。しかもこの効果が働くのは、相手がすでにその人との関係を続けたいと思っている(心理的にコミットしている)場合に限られ、そうでない場合はじらすほど『欲しい』気持ちも『好き』気持ちも下がった。
対象: 大学生を対象にした想定実験とスピードデート形式の実験の2件 / 限界: 実験室的な状況での短時間の出会いを扱ったもので、日常のメッセージのやり取りにそのまま当てはまるとは限らない。
Holtzman・Kushlev・Wozny・Godard(2021年)[2]
遠距離恋愛のカップルでは、テキストの頻度が多いほど交際満足度が高い傾向があった(統計的に有意)。相手が自分にどれだけ応じてくれていると感じるかも、同様に満足度の高さと関連していた。一方、近くに住むカップルでは、頻度・応じ方のどちらも満足度との関連は確認されなかった。
対象: 遠距離・近距離で交際中の18〜25歳前後647人(平均19.75歳) / 限界: 相関関係を調べた調査で、返信の速さ(秒や分の単位)そのものは測っておらず、あくまで頻度と『応じてくれている感覚』を尋ねたもの。因果関係はわからない。
Sullivan(2021年)[3]
人との関係で不安を感じやすい愛着スタイル(見捨てられ不安が強いタイプ)の人ほど、オンラインでのやり取りに関するやきもち(嫉妬)を感じやすかった。ただし、オンラインでの誤解が生まれることへの不安を強く自覚している人では、この関連は見られなくなった。
対象: 交際中の大学生84人(交際期間平均約15か月) / 限界: 特定の大学の学生を対象にした横断調査で、実際の返信速度や既読時間そのものは扱っていない。
Métellus・Vaillancourt-Morel・Brassard・Daspe(2025年)[4]
見捨てられ不安が強い人ほど2年後の交際満足度が低くなる傾向があったが、SNS上でのやきもちを考慮すると、その直接の関連は弱まった。一方、相手の行動をこっそり確認する『電子的な見張り』行動そのものは、やきもちと関連していたものの、交際満足度の変化とは直接結びついていなかった。
対象: 交際中の18〜29歳322人を2年間・3時点で追跡した縦断調査 / 限界: SNS利用全般を対象にしており、メッセージの既読・返信の速さだけを取り出して調べたものではない。
03見抜くサインと、身を守る小さな一歩
既読からの時間そのものより、会話の中身への関心や自分がどれだけチェックを繰り返しているかに目を向けると、不安に振り回されにくくなる。
既読チェックの回数を数えてみる
1時間だけ、スマホを見た回数をメモしてみる。回数の多さに気づくだけで、無意識のチェックを自覚しやすくなる。
所要 5分
返信の『速さ』でなく『中身』を振り返る
直近のやり取りを読み返し、質問を返してくれているか、話を広げてくれているかを見る。速さより会話への関与に注目する視点が持てる。
所要 5分
自分の愛着の傾向を知っておく
人との関係で不安を感じやすいタイプかどうかは、相手の反応の受け止め方に影響することが研究でも示されている。まず知っておくだけでも見方が変わる。
所要 10分
『じらし』を武器にも深読みの材料にもしない
わざと返信を遅らせる行動も、相手がすでに好意を持っているかどうかで効果が変わるとされている。操作の手段として使ったり、相手の遅さを深読みしすぎたりしないようにする。
所要 3分
04距離の取り方と相談先
返信のたびに一喜一憂して日常生活がつらいと感じるときは、それは性格の問題ではなく、相談していい悩みとして扱ってよい。
- 既読からの時間を測るような使い方はやめて、通知を見ない時間を意識的に作る。
- 友人など第三者に会話のスクリーンショットを見せて、自分以外の見方を聞いてみる。
- 四六時中スマホが気になって仕事や睡眠に影響が出ているなら、心療内科や公認心理師などの専門家、学生であれば学生相談室に相談することも選択肢に入れてよい。
05この研究から考えた、こんなアプリ
既読の時間を測るのではなく、会話の中身に目を向け直せるアプリ
APP IDEA
ペース、じゃなくて。(仮)
既読からの分数を数えてしまう自分 → 会話の温度感に目を向けられる自分
- 通知や既読時刻を強調表示せず、直近のやり取りの内容だけを振り返れる『振り返りモード』
- スマホを開いた回数を静かに記録し、チェックが増えている時間帯に気づかせてくれる機能
- 不安が高まったときに、深呼吸や別の作業に切り替えるための3分間のタイマー
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06よくある質問
既読や返信をめぐるよくある疑問について、研究でわかっている範囲を整理する。
既読がついてから返信が遅いのは、嫌われているサインですか。
返信の速さだけで相手の好意を判断できるとした研究は見当たらない。むしろ研究が示しているのは、速さより会話の中身への関与の方が満足度と結びつきやすいということで、それも遠距離恋愛など状況によって差がある。
わざと返信を遅らせれば、好きになってもらえますか。
『じらし』が関心を高めるという実験結果はあるが、それは相手がすでにこちらへ気持ちを向けている場合に限られ、関心が薄い相手には逆効果になる可能性も示されている。誰にでも効く必勝法ではない。
既読を何度も確認してしまう自分はおかしいのでしょうか。
おかしいことではない。人との関係で不安を感じやすい人ほど、相手の反応を確認したくなる傾向があることが研究で示されており、自然な反応として理解してよい。
頻繁にやり取りしている相手は、自分に気があるということですか。
遠距離の関係では、やり取りの頻度や相手の応じ方の良さが満足度と関連していたが、近くにいる関係ではその関連は見られなかった。頻度だけで気持ちの大きさを測るのは難しい。
出典
- Dai, X., Dong, P., & Jia, J. S. (2014). When does playing hard to get increase romantic attraction? Journal of Experimental Psychology: General, 143(2), 521-526. https://doi.org/10.1037/a0032989
- Holtzman, S., Kushlev, K., Wozny, A., & Godard, R. (2021). Long-distance texting: Text messaging is linked with higher relationship satisfaction in long-distance relationships. Journal of Social and Personal Relationships. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8669216/
- Sullivan, K. T. (2021). Attachment Style and Jealousy in the Digital Age: Do Attitudes About Online Communication Matter? Frontiers in Psychology. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8322522/
- Métellus, S., Vaillancourt-Morel, M.-P., Brassard, A., & Daspe, M.-È. (2025). Attachment Anxiety and Relationship Satisfaction in the Digital Era: The Contribution of Social Media Jealousy and Electronic Partner Surveillance. Journal of Marital and Family Therapy. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12445260/